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転職と退職金の関係をデータで解説|受取タイミング・計算方法・損しない辞め方の全知識

転職と退職金の関係をデータで解説|受取タイミング・計算方法・損しない辞め方の全知識







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Career Shift Lab 編集部
転職メディア編集部 / 業界経験10年以上のキャリアアドバイザー監修

転職を決意したとき、給与や福利厚生と同じくらい気になるのが「退職金はいくらもらえるのか」「いつ振り込まれるのか」という問題です。退職金は勤続年数や退職理由によって金額が大きく変わるため、辞めるタイミングを数カ月ずらすだけで数十万円の差が生まれるケースも珍しくありません。

厚生労働省「就労条件総合調査(2023年)」によると、退職給付制度がある企業の割合は74.9%。一方で、制度の内容を正確に把握している従業員は少数派というのが実情です。退職金規程を読まずに退職届を出し、想定より低い金額に後悔する――そんな事態は避けたいところでしょう。

本記事では、退職金の基本的な仕組みから受取タイミング、転職先との交渉で知っておくべきポイントまで、公的データを交えながら整理していきます。退職にまつわる税金や社会保険の切替手続きと合わせて読むことで、転職時のお金の不安を軽減できるはずです。

目次

この記事でわかること

  • 退職金制度の種類と支給率の違い
  • 自己都合退職・会社都合退職で金額がどれだけ変わるか
  • 受取タイミングと振込までの一般的なスケジュール
  • 退職金にかかる税金と「退職所得控除」の計算方法
  • 企業型DC(確定拠出年金)・iDeCoの移換手続き
  • 退職時期を数カ月ずらすだけで得するケースの具体例

退職金制度の種類と企業規模別の支給実態

退職一時金・確定給付年金・確定拠出年金の違い

退職金制度は大きく3つに分類されます。退職一時金は退職時に一括で受け取る方式、確定給付企業年金(DB)は将来の給付額が確定している年金型、そして確定拠出年金(DC)は運用成績によって受取額が変動する方式です。

厚生労働省の同調査では、退職一時金のみの企業が69.0%、一時金と年金の併用が17.4%、年金のみが13.6%となっています。中小企業では一時金のみの割合が高く、大企業になるほど併用型が増える傾向が見られます。

企業規模別の平均支給額

企業規模 勤続20年・自己都合 勤続20年・会社都合 勤続35年・定年退職
1,000人以上 約680万円 約880万円 約2,000万円
300〜999人 約470万円 約610万円 約1,300万円
100〜299人 約340万円 約450万円 約900万円
30〜99人 約220万円 約310万円 約600万円

※東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(2024年)」および厚生労働省「就労条件総合調査」をもとに概算値を整理

この表からわかるように、同じ勤続年数でも企業規模や退職事由で金額に大きな差が生まれます。転職を検討するなら、まず自社の退職金規程を確認することが第一歩です。

自己都合と会社都合で退職金はどれだけ変わるか

支給率の差は平均2〜3割

自己都合退職の場合、多くの企業では会社都合退職と比べて支給率が20〜30%低く設定されています。さらに「勤続3年未満は支給なし」とする企業も約45%にのぼります(東京都産業労働局調べ)。転職を決めた際に「あと数カ月で勤続年数の節目を迎える」なら、退職日を調整する価値は十分にあるでしょう。

退職勧奨・早期退職優遇制度の扱い

会社から退職勧奨を受けた場合は「会社都合」として扱われるのが原則です。早期退職優遇制度を利用すると、通常の退職金に加えて割増金が上乗せされるケースが多く、金額が1.5〜2倍程度になることもあります。退職理由がどちらに該当するかは離職票の記載にも影響し、失業給付の給付日数も変わるため注意が必要です。

なお、退職前後の引き継ぎ計画については退職時の引き継ぎ完璧マニュアルで詳しく解説しています。円満退職は退職金の満額支給にもつながるため、合わせて確認しておくと安心です。

退職金の受取タイミングと振込スケジュール

一般的な振込時期は退職後1〜2カ月

法律上、退職金の支払い期限に関する明確な規定はありません。多くの企業では就業規則や退職金規程で「退職後◯カ月以内に支払う」と定めており、実務上は退職後1〜2カ月で振り込まれるのが一般的です。ただし、退職金算定に時間がかかる企業や、年金型の場合はさらに遅れることがあります。

退職から次の入社日までに空白期間がある場合、生活資金の確保が課題になります。退職金の振込時期を人事部に事前確認しておくことで、資金計画を立てやすくなるでしょう。

退職日を月末にするか月末前にするか

退職日を月末にすると、その月の社会保険料は在籍企業が負担します。月末の1日前に退職すると、翌月から国民健康保険と国民年金に切り替わり、自己負担が発生するケースがあるため注意してください。社会保険の切替手続きの詳細は転職時の健康保険・年金の切替手順で解説しています。

退職金にかかる税金と退職所得控除

退職所得控除の計算方法

退職金には「退職所得控除」という大きな非課税枠が設けられています。計算式は以下のとおりです。

  • 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
  • 勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

たとえば勤続12年で退職した場合、40万円 × 12年 = 480万円までは非課税となります。退職金が480万円以下なら所得税・住民税はかかりません。

確定申告が必要なケースと「退職所得の受給に関する申告書」

退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出すれば、源泉徴収で課税が完結し、原則として確定申告は不要です。提出しなかった場合は退職金の20.42%が一律で源泉徴収され、確定申告で精算する必要が出てきます。住民税の手続きも含めたお金まわりの知識は転職時の住民税・所得税の手続きで体系的にまとめていますので、併せて確認してみてください。

企業型DC・iDeCoの移換手続き

転職先に企業型DCがある場合とない場合

企業型DCに加入していた場合、退職後6カ月以内に移換手続きを行わないと、資産が国民年金基金連合会に自動移換されます。自動移換されると管理手数料が差し引かれ続け、運用もされないため、資産が目減りする一方です。

転職先に企業型DCがあれば、その制度へ資産を移換できます。転職先にDC制度がない場合や、フリーランスとして独立する場合はiDeCo(個人型確定拠出年金)への移換が選択肢になります。

体験談:移換手続きを放置して後悔したケース

30代後半で転職したAさん(メーカー勤務→IT企業)は、退職後の忙しさから企業型DCの移換手続きを失念。気づいたのは転職から1年後で、すでに自動移換され、手数料として約1万円が差し引かれていました。「退職時のチェックリストに入れておけばよかった」とAさんは振り返ります。転職の引き継ぎや入社準備に追われる時期だからこそ、手続きを一覧化しておくことが大切です。

退職時期を戦略的に選ぶためのチェックポイント

勤続年数の節目と賞与支給日

退職金の支給率は勤続年数が1年増えるだけで大きく変わることがあります。たとえば「勤続5年未満は支給率50%、5年以上は70%」といった段階的な設計を採用する企業は少なくありません。あと数カ月で節目を迎えるなら、退職日の調整を検討する価値があるでしょう。

また、賞与支給日の前に退職届を出すと、賞与の支給対象から外れる可能性があります。賞与の算定期間と支給条件を就業規則で事前に確認しておきましょう。

転職先の入社日との調整

内定を得た後、入社日の調整は転職先との交渉次第です。内定承諾前に労働条件を確認するポイントについては内定後に確認すべき労働条件チェックリストが参考になります。退職金の受取タイミングと新しい職場の入社日を逆算し、空白期間中の生活費を確保する計画を立てておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 退職金がない会社から退職金がある会社へ転職する場合、勤続年数は通算されますか?

原則として、転職先の退職金制度における勤続年数は転職先での在籍期間のみでカウントされます。前職の勤続年数が通算されることは一般的にありません。ただし、グループ内異動や合併の場合は例外もあるため、転職先の規程を確認してください。

Q2. 退職金を年金形式で受け取るのと一時金で受け取るのでは、どちらが税制上有利ですか?

一時金で受け取る場合は退職所得控除が適用され、税負担が軽くなる傾向があります。年金形式の場合は雑所得として毎年課税されるため、総額では税負担が大きくなるケースが多いとされています。ただし、個人の所得状況や受取期間によって最適解は異なるため、税理士やFPへの相談を推奨します。

Q3. 転職活動中に退職金の見込み額を確認する方法はありますか?

多くの企業では、人事部や総務部に問い合わせれば退職金の見込み額を教えてもらえます。直接聞きにくい場合は、退職金規程と自分の勤続年数・等級から概算することも可能です。社内イントラネットに規程が掲載されている企業もあるため、まずは確認してみてください。

まとめ

退職金は転職の経済的なインパクトを大きく左右する要素です。自己都合と会社都合の支給率の差、勤続年数の節目、退職所得控除の仕組みなど、事前に把握しておくことで「知らなかった」による損失を防げます。

退職金規程の確認、退職日の戦略的な設定、企業型DCの移換手続きの3つは、転職を決意したら早い段階で着手したい項目です。本記事のデータやチェックポイントを参考に、納得のいく転職計画を立ててみてください。

参考

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最終更新日: 2026年05月12日

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