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転職で退職金は損する?データで見る勤続年数・制度別の差額と損失を最小化する方法

転職で退職金は損する?データで見る勤続年数・制度別の差額と損失を最小化する方法

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Career Shift Lab 編集部
転職メディア編集部 / 業界経験10年以上のキャリアアドバイザー監修

転職を考えたとき、年収や仕事内容と同じくらい気になるのが退職金の問題です。「あと数年待てばもっともらえたのでは」「自己都合退職だと大幅に減るのでは」という不安は、転職の意思決定を鈍らせる大きな要因になっています。

厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」によると、大学卒・勤続20年以上の定年退職者の平均退職金は約1,896万円。一方、同じ勤続年数でも自己都合退職の場合は約1,441万円と、約455万円もの差が生じるとされています。この数字のインパクトは小さくありません。

しかし、退職金の「損」だけを見て転職を先延ばしにすると、キャリア全体で見たときにかえって不利になるケースも少なくないのが実情です。本記事では公的統計を中心としたデータをもとに、転職時の退職金でどの程度の損が発生するのか、そしてその損失をどう最小化できるのかを体系的に整理していきます。

目次

この記事でわかること

  • 退職理由別(自己都合・会社都合・定年)で退職金がどのくらい変わるか
  • 勤続年数ごとの退職金モデルと「損益分岐点」の考え方
  • 退職金制度の種類による差(確定給付・確定拠出・中退共など)
  • 退職金の損失を最小化するための具体的な5つの対策
  • 転職先の退職金制度を事前に確認するチェックポイント

退職理由で退職金はいくら変わるか|データで比較

自己都合退職と定年退職の差額

転職による退職は原則「自己都合退職」に該当します。厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」のデータから、退職理由別の平均退職給付額を見てみましょう。

退職理由大学卒(勤続20年以上)高校卒(勤続20年以上)
定年退職約1,896万円約1,682万円
会社都合退職約1,738万円約1,385万円
自己都合退職約1,441万円約1,079万円
早期優遇退職約2,266万円約1,948万円

出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」

自己都合退職は定年退職と比べて約24%の減額になる計算です。この差額を「損」と捉えるかどうかは、転職後のキャリアで取り戻せるかという視点が重要になります。

会社都合退職との差も無視できない

リストラや事業縮小による会社都合退職の場合、自己都合よりも優遇されるのが一般的です。退職勧奨を受けた場合は「会社都合」扱いになるため、退職金の支給率が上がることがあります。ただし、自ら交渉しなければ自己都合扱いのまま処理されるケースもあるため、退職時の書類確認は慎重に行いたいところです。

勤続年数別の退職金カーブと「損益分岐点」

退職金は後半に加速度的に増える

多くの企業の退職金制度では、勤続年数が長くなるほど1年あたりの上乗せ額が大きくなる設計になっています。たとえば勤続5年で約100万円だった退職金が、勤続10年で約300万円、勤続20年で約1,000万円を超えるというカーブを描く企業は珍しくありません。

つまり、退職金だけを考えると「もう少し待つ」判断が合理的に見える場面は確かに存在します。

生涯年収で考える損益分岐の目安

一方で、転職によって年収が50万円上がれば、10年間で500万円の差が生まれます。退職金の減額分が300万円だとすれば、転職後3〜6年で「損」を回収できる計算です。退職金の額面だけでなく、退職金と年収の関係を総合的にデータで見る視点が欠かせません。

退職金制度の種類による損失の違い

確定給付型(DB)は転職で損しやすい

確定給付型は勤続年数に連動するため、途中退職による減額が大きくなりがちです。特に支給率テーブルが後半に傾斜している企業では、あと数年で支給率が大きく跳ね上がるタイミングが存在します。退職前に自社の退職金規程を確認し、次の支給率アップまでの期間を把握しておくことが重要です。

確定拠出型(DC)はポータビリティが高い

確定拠出年金(企業型DC)は、転職先のDC制度やiDeCoに資産を移換できるため、勤続年数による損失が発生しにくいのが特徴です。近年はDCを導入する企業が増えており、JILPT(労働政策研究・研修機構)の調査によると、企業型DCの実施事業所数は2024年時点で約4万社を超えています。

転職先の退職金制度がDC中心であれば、退職金面での損はかなり限定的になるでしょう。

退職金の損失を最小化する5つの対策

対策1〜3:退職前にできること

①退職金規程の支給率テーブルを確認する

自分の勤続年数が支給率の「節目」に近い場合、数カ月の退職時期調整で数十万円単位の差が出ることがあります。

②退職時期を年度末・賞与支給後に合わせる

退職金とは別に、賞与の在籍要件を満たすタイミングを意識することで、トータルの手取りを最大化できます。

③有給休暇を消化してから退職日を設定する

有給休暇の買取制度がない企業では、有給消化期間を退職日に含めることで勤続年数を1日でも伸ばすことが可能です。

対策4〜5:転職先選びで意識すること

④転職先の退職金制度を事前に確認する

求人票に退職金の詳細が記載されていないことは多いものの、内定後のオファー面談で確認するのは一般的なことです。制度がDB型かDC型か、あるいは退職金前払い制度かで生涯の受取額が大きく変わります。

⑤年収交渉で退職金の損失分を織り込む

前職の退職金で損が出ることが明らかな場合、年収交渉の材料にすることも選択肢の一つです。転職エージェントを活用すれば、こうした交渉を第三者が代行してくれるケースもあります。ベンチャー企業への転職を検討している方の場合、退職金制度自体がない企業も多いため、年収・ストックオプションなど他の報酬で補えるかを総合的に判断しましょう。

体験談:勤続8年で転職した30代Aさんのケース

メーカーに8年勤務していた30代のAさんは、IT企業への転職を決意。退職金は約180万円で、定年まで勤めた場合の推計額(約1,500万円)との差に一時は迷いを感じたそうです。

しかし転職後の年収は約120万円アップし、さらに転職先の企業型DCに毎月5.5万円の拠出がありました。「退職金の額面だけで判断していたら、転職のタイミングを逃していたと思う。年収アップ分とDCの積立を合わせると、3年ほどで退職金の差額は取り戻せる計算になった」とAさんは振り返っています。

退職金の「損」を過大視して転職機会を見送るリスクも、データとシミュレーションで冷静に評価したい部分です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自己都合退職でも退職金が減らない企業はありますか?

あります。退職金制度は企業ごとに異なり、退職理由による減額規定を設けていない企業も一定数存在します。退職金規程で「自己都合退職の支給率」を確認するのが確実です。

Q2. 転職先に退職金制度がない場合、どう備えればよいですか?

iDeCo(個人型確定拠出年金)や積立NISAなど、自分で老後資金を積み立てる仕組みを活用する方法があります。退職金がない代わりに基本給が高い企業もあるため、年間報酬のトータルで比較することが大切です。

Q3. 退職金にかかる税金は転職タイミングで変わりますか?

退職所得控除は勤続年数に応じて増えるため、勤続年数が1年違うだけで控除額が変わることがあります。詳しい税金の仕組みについては、転職時期と税金の関係をまとめた記事も参考にしてください。

まとめ

転職による退職金の損は確かに存在しますが、その額を正確に把握し、年収アップや転職先の制度と比較すれば、損失を回収できるケースは多くあります。退職金規程の確認、退職時期の調整、転職先の制度比較という3つのステップを踏むだけで、数十万円〜数百万円単位の差が生まれる可能性があるでしょう。退職金の「損」を恐れて行動しないことが、キャリア全体で見たときの最大の損失になることもあります。データに基づいた冷静な判断で、後悔のない転職を実現してください。

参考

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最終更新日: 2026年06月11日

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